銀色ペラペラ野郎

アルミホイルはなぜぐしゃぐしゃにすると元のピンとした状態に戻らなくなるのだろうか、

と、ずっと疑問に思っている。

かなり昔から思っている。


紙をくしゃくしゃに丸めて元のピンとした状態に戻るか。

戻らない。

広げてもしわが付いたままだ。

しかし、アルミホイルのように「なぜ?納得できない!」という気持ちにはならない。

ガラスを濡れた雑巾で綺麗に拭いたとして、水分を新聞紙などで拭き取らないと、水滴の跡が残る。

これは「だよね」と思う。

アルミホイルのように「なぜ?納得できない!死ね!」という気持ちにはならない。

ラップだってぐしゃぐしゃにすると元に戻らない、と、思いきや、ラップは深皿にかけて電子レンジでチンすれば多少盛り返す。

アルミホイルのように「なぜ?納得できない!殺すぞ!」という気持ちにはならない。

不思議だ。


アルミホイルの元に戻らなさは一種の諦めに見える。

もう自分むりっす。あの時には戻れないっす。

やる気が感じられない。戻ろうという意思が感じられない。

アルミホイルが家にある人は是非、今、ぐしゃぐしゃっと丸めてポンと机の上に置いてほしい。

そしてまんじりと動こうとしないアルミホイルの塊をじっと見つめてみてほしい。

やつは動かない。

それを見て生まれるあなたの感情、大事にしてほしい。


もしかしたらメタリックな見た目からくる重厚感が邪魔しているのかもしれない。

メタリック=金属=硬いという図式が潜在意識にあり、納得出来ないのかも。

そう考えるとなるほど金箔もそうだ。

「金のくせにひらひらしてんじゃねえよ!」と思う。

調べると金箔は竹の棒でも切れるらしい。

金のくせに。

アルミホイル的な納得のいかなさが沸いてきた。

あいつは豪華な見た目で実際値段も高くて、そして貧弱だ。

アルミホイルより納得いかない気がしてきた。

これは大きな発見である。


その柔軟さは時に僕を助けてくれる。

主に煮物作ってる時の落し蓋として。

しかしアルミホイルに対しての懐疑心は拭えない。

アルミホイルに助けられ、アルミホイルを怪しむ。

アルミホイルと僕の微妙な関係。

男と女。

冷静と情熱の間。


どうでもいいんですが、アルミホイルを奥歯で噛んだらキーンて痛くなるやつ、電流が発生してるかららしいですよ。

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