家の中に閉じこもっていると外に出たくなる。
外に出ると家に帰りたくなる。
隣の芝生は青い。
中学ではサッカー部だった。
学校のグラウンドは野球部と陸上部が使ってスペースがないので近くの運動場を借りていた。
土のグラウンドだった。
天気が良いと砂埃がひどかった。
雨が降ると泥沼に変わった。
部室は狭くて3年生の場所だった。
1、2年生は外の簡易テントみたいなところで着替えをしていた。
鉄で出来たベンチは長年の放置によって腐食し傾いていた。
3年になるとやっと部室に入れた。
入れたが、部室はコンテナに小さな窓が一つついているだけのものだったので、
熱気がこもり、常に異臭を放っていた。
雨が降るとその異臭は三倍増しになった。
卒業して何年か経ち、グラウンドの前を通りかかると芝生が植えられていた。
僕の出身中学であろう体操服を着た少年たちがサッカーの練習をしていた。
なんとうらやましかったことか。
僕たちの頃、芝生でサッカーと言えば大会の会場だけだった。
こけても痛くない、スライディングもしやすい。
雨が降るとそりゃあ多少グズグズになるが、土の比ではない。
ボールが水たまりで止まることもない。むしろ滑ってスピードアップする。
中学卒業してからサッカーをやることはほとんどなくなった。
高校の体育の授業ぐらいだった。
娘の通っている学校に行くと子供たちがよくサッカーをしている。
それを見るとなんとなくしたくなる。
したくなってその辺に転がっているボールを足で触ってみる。
思うように足が動かない。リフティングが続かない。
嫌になって触るのをやめる。
やってみるとなんだかやりたくなくなる。
そんなことばっかり。
でもやっぱり、サッカーは芝生、これは間違いないと思う。
土から見る芝生は青い。
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