僕は知らない街を散歩したりドライブするのが好きだ。
時間があれば最寄駅のひとつ前で電車を降りてみる。
歩きながら人の家の花壇を物色したり、上を見上げてこの電線はどこに向かって伸びているのかと想像したり。
生まれ育った街は空き地ばかりだった。
ドラえもんに出てくる土管があって若草が広がって、ではなくほぼ砕いた石。
どこかの山から削り取られて住宅建築の土台として運ばれてくる砂利。
こけたら痛い。それはもう。
スペースに対して需要と建築スピードが追いつかなかったのか、結構な数の空き地があった。
そこにちょっとした木が生えていようものならその場所は即座に誰かの秘密基地になった。
木じゃなくても良い。なぜか転がっているタイヤでも良い。
そこにお気に入りの道端で拾ったガラクタや手にしっくりくる枝なんかを放り込めば完成する。ガラクタがなくなれば近所の知らないやつが盗んだんだと騒ぐ。
一方、引っ越してから街を歩いてみると、あれ、この辺は空き地ないなと感じた。
よくよく考えれば大昔、日本の首都として栄えた街と東京から外国へ行く方が早い地元と比べてはいけない気もするが、しかしこの辺りに住む小学生男子は一体どこに秘密基地を作るのだろうと思う。
人んちの庭先か?狭い行き止まりの路地か?
公園の看板には花火禁止や自転車乗り入れ禁止などの注意書きが書かれている。
地元の悪ガキはわざわざ民家近くまで行ってロケット花火を打ち込む度胸試しをしていた。
自転車ひっくり返してペダル回してかき氷屋ごっことか言えないじゃないかと思った。
そういえば、ここは逆に、壁が多い。
地元は民家が少ないから遊べるスペースが広い分、壁がない。
壁がないので1人でサッカーしたり壁当てキャッチボールしたり出来ない。
その点、今住んでいる場所では特に道路に面した学校のプールの壁が熱い。
毎日入れ替わり立ち替わり違う男の子たちがボールで遊んでいる。
この前は男子中学生4人組が学生服のままサッカーしていた。
その年だともっと違う遊びもあるんじゃないかと思った。
この前子どもと散歩している時に、駐車場を囲っているフェンスの支柱にプラスチック製の割れた犬のおもちゃが置かれているのを見つけた。
誰がどうして何のため。
疑問が凝縮され過ぎていて思わず笑ってしまった。
きっとこのおもちゃを置いた人物は男子小学生です。
断言する理由があるわけではないが、自分が秘密基地に持っていったガラクタのことを思い出して、断定させて頂きます。
フェンスの支柱、3cm×3cmの秘密基地。
文字にするとかっこいい気がする。いいじゃない。
都会っ子もなかなかやるじゃない。
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