「イチゴ狩り」というネーミングに納得がいった話

先日、色々な流れで、人生初のイチゴ狩りへ行ってきた。


イチゴ狩り……これまで自分とは縁のないアクティビティだった。

好んで果物を食べる人間ではないし、買うにも高いので、それなら同じ値段の肉を買う。そういう生き方をしてきた。きっとこれからもそうだろう。


大体「狩り」という言い回しは何なのか?イチゴが動くのか?動物みたいなものなのか?

鹿か、猪か何かか?我々はハンターか?罠でも仕掛けるか?


とか思いつつ、果物の中でもイチゴは割りと好きな部類であり、また、まあ、「色々な流れ」とか濁したけど、自分でお金を出さずに行けることになったので、行ってきた。

タダに勝るもの、なしという話。


場所は「いずみふれあい農の里」というところである。

我が家からは1時間半ほど。あべのハルカスを横目に高速道路を南下した。

到着。

4月上旬、まさに春の陽気。桜も満開。暑さで額に汗が滲んだ。

そこはビニールハウスが何本も並ぶ広い敷地だった。

中を覗くと赤い獲物が見える。

我々に狩られる運命を持ちし者たちである。

首を洗って待ってろよ。首ないか!ガハハ!


ツアーのようなものに参加している形なので、まずは集合。100人以上はいたと思う。

そして施設のスタッフさんからイチゴ狩りの説明を受けた。

後ほど写真を載せるが、ビニールハウス内は細い通路が何本も伸びているような構造なので、入った人は奥に詰めていくこと。

そしてイチゴは、茎の部分を押さえて90度傾け、下に引っ張ると簡単に取れる、とのこと。

実演もしていたが、思いっきり失敗してて笑った。

説明が終わり、いよいよハウス内へ。

むあっとした熱気と甘い匂い。自分が虫ならここを住処にする。

入ったあとはもう自由。各々が思い思いに歩き回り、イチゴを搾取するだけだ。

入り口で練乳入れとヘタ入れを兼ねたカップをもらった。

「ヘタ入れ」という文字が入っているということは、イチゴ狩り専用のカップということだろう。こんなんあるんかと驚いた。

さて肝心のイチゴはこちら。

地面から浮かせて栽培する高設栽培という農法なのでかがまなくてもいいし、イチゴの下には斜めにネットが張られていて、イチゴ自体の重みで垂れ下がっているようなこともなく、取りやすい。イチゴ狩りにバリアフリーを見た。

頂きます。

失礼だが、思ったよりも甘い。イチゴっておいしいんですね。

そして気付く。


これまでの人生で食べたイチゴ。

例えばケーキの上に乗っているもの、そのままパックから取り出したもの。

そのどれもが冷たかったのだ。

イチゴ狩りのイチゴは、ハウスの熱気のせいでぬるい。常温だ。

さらにはやわらかい。(冷やしたイチゴは歯応えがあるんだ!)と思った。

イチゴに「歯応え」があると認識したことがなかった。イチゴ狩りに来なければ一生分からなかっただろう。

練乳をつけてみた。

実は練乳をつけて食べるのも初めて。僕の育った家には「練乳」という文化がなかった。

「これショートケーキの上に乗ってるイチゴやん…」という感想。

ここはケーキ屋か?スイーツパラダイスか?

いけるじゃん。やるじゃん。

そうこう思いながら食べ進める。

もちろん周りの人も、歩き回りながら食べている。

こんな大人数で歩き食いしている。どんな行儀だ。みんな「ごはんは座って食べましょう」って教わったはずだ。

しかし、イチゴ狩りは治外法権なのだ。いいのだ。みんながみんな、アラブの石油王なのだ。

この農園では何種類かのイチゴを栽培していて、食べ比べもできる。お得。

味は…まあ…ちょっと違いが分からなかったけど、よく見ると細長いものや丸いもの、形がちょっとずつ違うのが面白い。今度スーパーでも気にしてみよう。

まぶしい緑だ。目が良くなる。

周りから「もうちょっと奥行ってくれたらいいのに…」「こっちの通路の方が甘い!」という声が聞こえてくる。

基本的には早い者勝ちのイチゴ狩り。ポジション争いは戦いに近いものがある。

そう考えると「狩り」というネーミングセンスにも納得がいきますね。良かった。納得できて。

連なるイチゴに「エモいな…」という感想が漏れる。

大量のイチゴが生えている光景に情熱を感じる。

感受性が大爆発。これは生命の塊なのだ。生きてるって素晴らしいことなんだ!やったぁ!生きてて良かったぁ!


が、しかし。

20個ほど食べたところで、飽きてきた。


いやイチゴは悪くない。でも焼肉食べたあとには(一週間は肉食べたくないな…)とか寿司のあとは(肉食いてぇ…)とか、思うでしょ?それです。

イチゴを食べ飽きる。なんて贅沢な経験だろう。

水分のせいか、お腹もタプタプになってきた。しょっぱいものが食べたい。


同行者に声をかけ、ハウス内から離脱。だいたい30分ぐらいだったと思う。

十二分にイチゴを堪能できた。はずだ。

一週間はイチゴを食べたくない。

これを満足と言わず、なんと言おうか。

冒頭で人生初めて、と書いたように、なかなかできない体験だったので、総じてみればやはり面白かった。

機会があればみかんやぶどうなど、また違う「狩り」シリーズに挑戦したい。

最終的には鹿とか猪とか狩ってるかもしれないので、ご期待ください。

あとヤギの子どもがいて、めちゃくちゃかわいかったです。

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