さよならポエジーの「前線に告ぐ」の良さを考える。
数年前から始まった邦楽ロックバンドの四つ打ちダンスロックブームもだいぶ下火に。それでも多いけど。
新しく対等してきたジャンルは「ネオシティポップ」と呼ばれるSuchmosやceroみたいなオシャレミュージック。叫ばないし疾走感は少なめ、都会の夜に似合う冷たさをどこかはらんでいる。
どこかで聞いた話だが、音楽を趣味にしている人間にとって、青春時代にハマった音楽からは抜け出せなくなるそう。なるほど確かに、世代別で人気曲が分かれている理由はそこだろう。60過ぎできゃりーぱみゅぱみゅが好き、という人はなかなかいない。アリス聴いてます!堀内孝雄最高!と声高な10代にも出会わない。
自分のことを考えてみると、ASIAN KUNG-FU GENERATION、NUMBER GIRL、eastern youth、マキシマム ザ ホルモン、ほかにもたくさんあるが、今でも自分から率先して聴きにいく音楽はだいたい10代の頃に出会っている。
と考えると、やっぱりなかなか、フェイバリットは更新されないものなんだなあと思う。
しかしここに来て、僕の中で登場したのがさよならポエジーの「前線を告ぐ」である。
「このバンド、〇〇みたい」という活字表現はなんとなく避けてきた僕ですが、何に似ていると感じるかというと、the pillows。
ディストーションというよりはブルースドライバー、というか直アンの歪みだけじゃね?というようなギターの音。そんなわけないけど。
どっしりとしたリズムのドラム。8ビートで決して派手じゃない。バカスカとフィルインをぶっこんでくるようなフレーズではない。
ベースラインも落ち着いている。これはあれだ。「ベース?聴こえない楽器のこと?」とか言われる種類の音だ。あれを見かけるたびにほんと耳おかしいんじゃないかと思う。どんだけミックスが下手でもベース入ってたら分かるだろ。好き嫌いの問題じゃないだろ。
the pillowsの曲はシンプルなコード感とギターリフが主題に置かれることが多い。これには海外バンドの影響が色濃く出ているのではないかと思う。英語歌詞も出てくるし。調べてみたらビートルズのような音楽を作ろうということで結成されたようだ。
フレーズの繋ぎ方が日本の曲っぽくないというか。クセなのか民族性なんなのか、AメロBメロをきっちり分けたような日本らしい音楽とはやっぱり違う。
話がそれたので戻します。
the pillowsの、例えば「ハイブリッドレインボウ」とさよならポエジーの「前線に告ぐ」が似ていると感じるのです。
僕は歪んだオープンコードをかき鳴らすような音楽が好きなので、サウンドとして好き、という理由づけは完了。
次に歌。
上の動画はTHE BACK HORN。下の動画はかげぼうしというバンド。
どちらも好きなバンドで、歌声が素晴らしいと感じます。
男らしい太さを感じる声が好きです。
飾りっ気なしに、そのまま歌っているような。これもさよならポエジーには通じるものがある。
あとメロディラインも胸にぐっとくる。
特にサビね。サビの歌は、オケがサビに入る1小節前から始まっている。
サビの出だしにメロディがない。しかしそのシンプルさが飾りっ気のない歌声を引き立てている。言葉数が少ないのも良い。メロディラインの変化だけで感情を感じさせてくれる。行間を読み取れという話である。一から十まで説明してもらえると思うなよ!
歌詞も良いねえ。
さっきから「良い」という話しかしてないけど、それが本題だから良い。
文章が繋がっていない、意味も読み取りづらい、でも響くものがある。これは言葉数が少ない分、歌詞について考える時間ができているからだろう。
サビだけ読むと、ボーカルが誰かに言われたのかな、それとも誰かに言ったのかな?
「きっとうまく生き残れるわ」なんてなかなか出てくる言葉じゃないでしょ。
エモーショナルな気持ちがじんわり伝わってくるね。泣いても笑ってもいない、真顔でこういうこと言っちゃう奴、好き。
なんで時々オネェ言葉になるのか。そこも良い。全然知らないのにシカザワを思い出したくなる。
多分彼らは僕より年下なんじゃないだろうか。違ってたらごめん。でも聴いてすぐにこれはやられたと思った。
そしてこんな長文を書いてしまうぐらいに、この曲に出会えて嬉しい。
ぜひともさよならポエジーを推していきたいと思う。
せっかくなのであと3回ぐらい「前線に告ぐ」の動画を載せて、この記事を終わります。
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