名前も覚えてないあの子たち

中学三年生の時だったと思うが、親に携帯を買ってもらった。

携帯という機械は僕にとっての革命だった。

なんせインターネットが出来る。色んな情報を瞬時に把握出来る。

すぐに夢中になった。いつ何時片時も携帯を手放さなくなった。

ある時、いつのまにか掲示板サイトに飛んでいた。

そこでは知らない人同士で仲良く好きなミュージシャンの話をしているかと思えば、他のページに移ると喧嘩上等、口汚く罵詈雑言を浴びせあっていたりした。

サイト名は全く覚えていないが、2ちゃんねるではない。

その頃は2ちゃんみたいな掲示板サイトが乱立してる時代だったから、多分その派生のどこかだと思う。

とにかく僕はそのサイトに入り浸るようになった。


そこで僕は真っ黒な歴史を量産することになるんですが、まあそれは置いといて、続けていると多少ネットの友だちみたいな人が出来た。

その掲示板では、常に半角カタカナで書き込みをし語尾に絶対「('A`)」という顔文字をつけるやつと、特に仲良くなった。

ある日彼がギターを始めると言った。

僕はその頃ギターをやっていたので、初心者だった彼に用語解説なんかをした。

多分レスポールギターを買ったんだったと思う。彼は練習した曲を携帯で録音して掲示板に貼り付けたりしていた。

そこそこ上手くて軽く嫉妬した。

そんなこんなで掲示板生活を送っていたが、いつのまにか掲示板サイトを開く回数が減り、そのまま彼とも疎遠になった。


掲示板サイトを開かなくなったのは、今度はモバゲーにハマったからだ。

僕が経験した一番最初のSNSサイト。

掲示板サイトとは違い、ゲームが出来たりアバターの着せ替えが出来たりするので今まで文字だけだった僕にとっては魅力的に映ったのだろう、こちらにもどっぷり浸かった。

そうしてまたここでも僕は真っ黒な歴史をこしらえ続けることになるんですが、まあそれは今はいいとして、やはりこちらでも続けていると何人か知り合いが出来た。

一番仲良くなったのは女の子だったと思う。

名前を全く思い出せない。

メンヘラだった。椎名林檎が好きと言っていた。確か関東に住んでいたと思う。

あと九州の女の子か。

その子のハンドルネームは覚えている。どうやって仲良くなったかは思い出せない。

なんか色々あった。書きたくない。

「荒木若干」というハンドルネームはその頃から使っているので、相手がネットで名前を見かけたら「うわっ」って思ってるかもしれない。いやバレてもいいけど。悪いことはしてない、と、思う。多分…。

僕の相手してくれた良い人でしたよ。

結局その2人とか、他にも何人か知り合いはいたけど、今はどこで何をしているのか全く知らない。


モバゲーどっぷりからもう10年ぐらい経つが、時々、あいつらは今なにしてんだろうなあと考える。

掲示板の彼とか。モバゲーの彼女らとか。

会いてえなあとは思わないが、健やかだろうかと、気になる感じ。

名前も覚えてないあの子たちは僕のことを覚えているのだろうか。

覚えていたのなら、出来れば僕のことを忘れてほしい。

僕の真っ黒な歴史を時折思い出して日々の生活を生きていかないでほしい。

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