豚汁ラプソディ

9月と言えば僕の誕生日である。

それはもう盛大である。

過去の誕生日を例にあげると、僕はとにかく豚汁が大好物で、

誕生日の日、カレー鍋で豚汁を作った。

その時はすでに結婚していたが、自分で作った。

嫁に「作らせろ」と申し出た。

約4リットルの豚汁は晩飯に登場し、翌朝には消え去った。

それはロマンだった。

ロマンは男を成長させる。

ロマンなき人生に意味などないのだ。


ここで豚汁に100パーセント必要な具材を挙げよう。

豚肉。当然とかのレベルではない。神ってる。

ゴボウ。ささがきも捨て難いが、そこは厚めの斜め切りだ。

人参。薄い輪切りが人の輪を作る。

長ネギ。あの時許せなかった出来事が、淡い思い出に変わる。

豆腐。木綿の弾力ある食感が幼少の記憶を蘇らせる。

こんにゃく。年越しそばのような細く長く生きるだけの人生なんてうんざりだ。歯ごたえを感じろ。苦難を楽しめ。

大根。その姿は哀愁があり、また心に訴えかけてくる何かがある。それは果たして、自我にとっての安寧、言い換えては堕落なのかもしれない。見方を変えればまるで麻薬のような存在になる。しかし、立ち止まってはいけない。振り返ってもいけない。己を信じる心。他者を許す気持ち。過去の失敗から得る力。明日への希望。世界との繋がり。叡智がもたらす、いや今までの努力が積み重なった、そう、命に近しいもの。それが自分を強くし、時には辛く感じる時もあるだろうが、きっと自分を強くし、逞しく、そして誠実に。生きていく。

僕たちは生きていく。

28歳になります。

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